株式会社 協同病理
病理学とその技術
私達のしごとの内容を一般の方にもわかりやすく説明したページです。
最終更新日:2011.7.11
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私達の会社の名前を初めて聞かれた方は
変わった名前だと、たぶん思われることでしょう。
医療の世界にはいろんな「裏方」がいることはあまり知られていません。
私達が何を、何のためにしているのか・・・・・・
完全に理解していただくのは難しいかもしれませんが
これから少しずつお話していきたいと思います。

私達の職場を簡単に説明すれば
医療関連サービスとして「病理学的検査を専門に行う登録衛生検査所となります

「病理学」とは・・・

「病理学」とはまさにその字のごとく、「病:やまい」(病気)の「理:ことわり」(筋道や仕組み)つまり成り立ちや本態を追及する学問です。英語では”Pathology”と言いますが、やはり”Pathos”(病気)と”Logos”(学問)を語源としています。
つまり、病気の原因、それによる体の形態や機能の変化、そしてその転帰を一連のものとして理解する「病気の科学」です。これはある意味で「医学」そのものとも言えます。
病理学は基礎医学系に属してはいますが、臨床医学と密接に結びついたものでもあるわけです。

また病理学には、動物実験などで模擬的に病的状態をつくり研究する「実験病理学」と、実際に病気の人体を観察して研究する「人体病理学」とがあります。しかし、両者の区分は方法論的なものであり本質的には同じです。

「病理学的検査」とは・・・

病理学は、今日では分子生物学や免疫学など多彩な内容を含んでいますが、もともとは19世紀末以来、肉眼的、顕微鏡的な組織形態の観察を基盤として発達してきた歴史があります。その間に得られた成果である多くの知見をもとにして、人体より得られた組織や細胞の形態学的観察から疾患の発見や診断の確定、あるいは治療効果の判定などが可能です。このような「検査」は今日ほとんどの医療機関で活用されており、病理学は臨床医学に直接貢献しています。

「病理学的検査」には大きく分けて、「組織検査」(組織診断)「細胞(診)検査」(細胞診断)とがあります。

「病理技術」とは・・・

病理学的検査は、基本的に≪サンプリング≫ → ≪標本化≫ → ≪観察≫ → ≪判定・診断≫というプロセスで行われます。
ここで、「標本化」という言い方をしましたが、さまざまな試料に対して、さまざまな種類の顕微鏡を用いて、さまざまな用途の「ミクロの観察」をするためにはμm(1/1000mm)〜Å(オングストローム:1/10000μm)単位の厚さで、しかも各々の対象・方法・目的に応じた「標本」を作製しなければなりません。
そのためには固定などの試料処理技術をはじめ、硬軟さまざまな試料の薄切(切削・研磨)技術、細胞の分離技術、さらに観察しやすいように標本にさまざまな色をつけたり(染色)、さまざまな化学反応や免疫反応などを用いた無機物・蛋白・糖鎖・脂質など含有物質の検出・分析・同定・定量・遺伝子(核酸)のサンプリング(抽出)・分析、ミクロのレベルでの断面構造・表面構造を観察する機器類の操作、さらに顕微計測・画像解析など幅広い技術が必要です。
私達は、これらの技術を包括して「病理技術」というひとつの技術ジャンルとしての概念を持っています。
そして、これは単に医療分野における病理学的検査(診断)のためのプロセスのみならず、医学・薬学や医療関連のさまざまな研究・試験における実験手段のひとつとしても有効であり、さらに分野を超えた基盤技術のひとつとして金属・樹脂などの素材工学、塗装・鍍金などの加工分野、鉱物学、食品、畜産・水産、考古学・博物学あるいは科学教育など幅広い分野での試験・研究への応用が可能ではないかと考えています。

私達の「仕事」とは・・・

私達は、≪医療関連≫ → ≪臨床検査(検体検査)≫ → ≪病理学的検査≫ → ≪病理技術≫というように専門・特化した業務を行っています。これが私達のコアでありプライマリーなコンピテンス(能力・資質)です。
私達の仕事は、

1)医療関連サービスとして病理学的検査を医療機関(診療の現場)に提供すること。
2)病理技術をもって医学・薬学はじめさまざまな医療関連の研究・試験を支援すること。
3)さらに、医療分野にこだわらず幅広い分野での病理技術の応用をめざすこと。

これらをもって、独立した“業”として社会に役立ち、かつ社会から認められることです。

同時に、ボランティアとして可能な限り

1)ロー・テクとして失われつつある技術の復元・継承も含め私達のアイデンティティのよりどころである
  これらの技術の普及・向上に些かでも役立ちたい。
2)科学教育・職業教育のひとつとして観察・発見することの楽しさ、「標本」というモノを造ることの難しさを
  次世代に伝えていきたい。

とも願っています。