株式会社 協同病理
Cytokeratin
最終更新日:2019.03.28

We are not selling antibodies. / Nous ne vendons pas d'anticorps. / Wir verkaufen keinen Antikorper.
No vendemos un anticuerpo. / 我們沒銷售抗體 / мы не продавать антило.
 抗体は販売していません。


Anti- 抗体名 略称 別名 HOST CLONE名 適用
Human Keratin-wide Kera →Keratin Rabbit Poly P*
Human Cytokeratin-multi Ck-multi Ck4/5/6/8/10/13/18 Mouse C-11 P*
Human Cytokeratin-multi AE1/AE3 AE1/AE3 Ck1-8/10/13?/14/15/16/19 Mouse AE1/AE3 P*
Human Cytokeratin,Low MW Ck-LMW Ck10/14/15/16/19 Mouse AE1 P*
Human Cytokeratin,High MW Ck-HMW Ck1/5/10/14 Mouse 34βE12 P*
Porcine * Cytokeratin,2A4 2A4 Ck8/18/19 Mouse 2A4 P*
Human Cytokeratin,LP34 LP34 Ck6/18 Mouse LP34 P*
Human Cytokeratin, CAM5.2 CAM5.2 Ck8/18? Mouse CAM5.2 P*
Human Cytokeratin 1 Ck1 (MW=68kD) Mouse 34βB4 P*
Human Cytokeratin 4 Ck4 (MW=59kD) Mouse 6B10 P*
Human Cytokeratin 5 Ck5 (MW=58kD) Mouse XM26 P*
Human Cytokeratin 6 Ck6 (MW=56kD) Mouse LHK6B P*
Human Cytokeratin 7 Ck7 (MW=54kD) Mouse RN7 P*
Human Cytokeratin 8 Ck8 (MW=52.5kD) Mouse TS1 P*
Human Cytokeratin 10 Ck10 (MW=56.5kD) Mouse LHP1 P*
Human Cytokeratin 14 Ck14 (MW=50kD) Mouse LL002 P*
Human Cytokeratin 19 Ck19 (MW=40kD) Mouse RCK108 P*
Human Cytokeratin 19 Ck19 (MW=40kD) Mouse b170 P*
Human Cytokeratin 20 Ck20 (MW=46kD) Mouse Ks20.8 P*
(Cytokertinの分子量については測定法の差からか、資料によって若干違う。ここではソースとなった抗体メーカーの資料に従った。)


■ CYTOKERATIN ■
 ケラチン(サイトケラチン)は上皮性細胞の細胞骨格を成す直径8〜11nmほどの中間径フィラメントであるが、単一の分子ではなく複数の遺伝子に支配される分子量40〜68kDの蛋白群の総称であり、分子量や生化学的分析によって20種類(から30種類ともいわれる)ほどの異なる蛋白に分類され、例外的なものもあるが大体は分子量の大きいもの順に番号が付けられている。 これらは比較的分子量の小さい type I (酸性ケラチン,CK9-20)と、比較的分子量の大きい type II(中性/塩基性ケラチン,CK1-8)に大別され、この両者が組み合わさったヘテロ二量体で網状のフィラメントを構成している。
 概してtypeI、type IIともに、比較的高分子量のもの同士の組合せは主に扁平上皮に含まれ、非扁平上皮には主に低分子量のものが含まれる。(重層扁平上皮ではCK5/14、単層上皮ではCK8/18がそれぞれの"primary cytokeratin"と呼ばれる)例えば皮膚重層扁平上皮の棘細胞層以上ではCK1/CK10、基底細胞層ではCK5/14が主に含まれ、付属器などでは場所によって中間に位置する4,6,13,16などが存在する。 一方、単層円柱上皮(消化管)では主に低分子量のCK7,8/18-20が含まれ、特にCK8/18がよく見られるがCK7は胆管、乳管などでは見られるのに対して腸管ではみられないことが多い。逆に大腸や胆管ではCK20が見られるのに対し乳管では見られないことが多い。また前立腺など2層構造をとる腺管では基底側の細胞はCK5/14、内側の細胞はCK8/18や7/19の発現が見られる。(前立腺生検などで層構造を観察するのに重宝する)肝細胞はCK8/18のみ有するのでCK7/19,20を発現する胆管上皮と鑑別し易い。CK3/12は角膜に見られる。

 Cytokeratinに対する抗体は(利用者が戸惑うほど)多くの種類があるが、一般にPolyclonal抗体(抗ケラチン) はそのうちの比較的高分子量ケラチンを主とする数種類と反応する。認識するcytokeratinが分子レベルで特定しにくいという点から”Wide”などと呼ばれるが、本当の意味での広範囲の分子を認識しているかどうかはわからない。(例えば免疫原に皮膚を用いたものであれば、皮膚の重層扁平上皮では幅広く反応するが、他の臓器では反応しないものがある。そういう点からは、むしろ AE1/AE3などのようなカクテル抗体の方がより広い範囲をカバーしているように思える) 一方、Monoclonal抗体(抗サイトケラチン)については、一種類と反応する(と言われている)ものはその番号で、数種類と反応するものは”pan”や”multi”などと呼んで区別されているが、結局は「商品名」に過ぎないと考えるべきでしょう。
ちなみに上記のようにCK1/10,5/14でほとんどの扁平上皮と腺管の基底細胞に反応するのでこれらに対する抗体を"D&SE"(Duct & squamous epithelium)と呼ぶことがある。また「高分子量(HMW)」とも呼ぶが、表現としては正確さに欠ける。なお、Keratin/Cytokeratinはホルマリン固定により免疫活性が低下するのでトリプシン等の蛋白分解酵素処理が一般に必要であるほか、単一蛋白を認識する抗体には熱処理をしなければ反応しないものもあり、固定条件によっては再現性が悪いことがある。

Keratin CK1 CK6 CK6
Keratin
Keratin X400
CK1
CK1 X400
CK6
CK6 X400
CK6
CK6 X400
CK10 CK14 CK17 CK7,8,18,19,20
CK10
CK10 X400
CK14
CK14 X400
CK17
CK17 X400
CK7,8,18,19,20
左からCK7,8,18,19,20
Polyclonal抗体では重層扁平上皮全層にわたり陽性。 CK1/10では基底層を除き陽性。逆にCK5/14では基底層に陽性。単層立方〜円柱上皮細胞に発現するCK7,8/18,19,20などは陰性となる。
CK14 CK14 CK17 CK17
CK14
CK14 X400
CK14
CK14 X400
CK17
CK17 X400
CK17
CK17 X400
毛根部、汗腺部でのCK14とCK17の反応性の違い。(CK14+/CK17+細胞とCK14+/CK17-細胞の分布)
CK6 CK7 CK8 CK17
CK6
CK6 X400
CK7
CK7 X400
CK8
CK8 X400
CK17
CK17 X400
CK18 CK18 CK19 CK20
CK18
CK18 X100
CK18
CK18 X400
CK19
CK19 X400
CK20
CK20 X400
CK20 CAM5.2 CK-HMW CK-LMW
CK20
CK20 X100
CAM5.2
CAM5.2 X400
CK-HMW
CK-HMW X400
CK-LMW
CK-LMW X400
市販されている主な抗Cytokeratin抗体のCloneとその推定認識抗原
免疫組織化学を複雑にしている一因には似通った名称や憶え難い名称のものも含めて実に多数のクローンが供給されていることもあるかもしれません。抗Cytokeratin抗体についても抗原として認識するCytokeratin分子と関連性の乏しい名称のクローンが多数ありますので参考資料として表にしてみました。(厳密に言うとmonoclonal抗体はクローンが違えば「違うもの」と言えますが、その特異性において他のクローンとは区別されるべきものもあれば、特にクローンに拘るほどの差のないものもあります。)数社の市販抗体について調べただけでもこれだけありました。もっと調べればこの他にもまだ市販の抗体はあると思いますが、別に他意はありませんので御容赦ください。 (2013年現在このリストはかなり陳腐化しています)
2D5/18 Ck 7/8
34βB4 Ck 1
34βE12 Ck 1/5/10/14 Ck-HMW(D&SE)
35βH11 Ck 8
5D3
(NCL5D3)
(Ck 8/18)(Ck 8/18/19)
(Ck 5/6/8/18) Ck-LMW
6B10 Ck 4
A3-3 Ck 10/13
A53-B/A2 Ck 19
A53-B/A2.26 Ck 19
AE1 Ck 10/14/15/16/19 typeI, basic Ck
AE2 Ck 1/2/10/11
AE3 Ck 1-8(1/2/5?) typeII, acidic Ck
AE5 Ck 3
AE8 Ck 1/2/3
BA17 Ck 19
b170 Ck 19
C04 Ck 18
C11 Ck 4/5/6/8/10/13/18
C18 Ck 7
C35 Ck 7
C50(C-50) Ck 5/8
C51(C-51) Ck 8
CAM5.2 Ck 8 (19? 18??)
CK2 Ck 13
CK5/6.007 Ck 5/6
CK56 Ck 18
CY-90 Ck 18
D5/16B4 Ck 5/6
DBS/1(DBS/1.1) pan Ck
DC10(DC-10) Ck 18
DE-K10 Ck 10
DE-K13 Ck 10/13
DE-SQ Ck-HMW (Like34βE12)
E3 Ck 7
IT-Ks20.3 Ck 20
IT-Ks20.5 Ck 20
K72.7 Ck 7
K92 55/56/60/62kD
KA4 Ck 14/15/16/19
Kg13.1 Ck 13
KL1(KL-1) pan Ck?*
KS-1A3 Ck 13
Ks13.1 Ck 13
Ks17.E3 Ck 17
Ks18.4 Ck 18
Ks19.1 Ck 19
Ks8.60 Ck 1/10/11
Ks20.8 Ck 20
LDS-68 Ck 7
LH1 Ck 10
LH2 Ck 1/10
LHK15 Ck 15
LHK6B Ck 6
LHP1 Ck 10
LL002 Ck 14
LL025 Ck 16
LP34 Ck 5/6/18
LP3K Ck 8
LP5K Ck 7
Lu-5(lu-5) pan Ck (Ck 1-19)
M9 (Ck 13)(Ck 18)
MNF116 (Ck 5/6/8/17/19)(Ck 10/17/18/19)
(45/46/56.5kD)(40/45/46/56kD)
OV-TL12/30 Ck 7
RCK102 Ck 5/8
RCK108 Ck 19
RKSE60 Ck 10
TS1 Ck 8/18
UCD/PR-10.11 Ck 8/18
ZSK3 pan Ck
Zym5.2 Ck 8/18
cocktail:
34βE12+35βH11 Ck 1/5/8/10/14
5D3+LP34 Ck 5/6/8/18
AE1+AE3 Ck 1-8/10/14/15/16/19
KS5+8.22/C22 ?
注)
 この表の内容は2009年時点でのメーカーあるいは販売会社のデータシートまたはカタログや関連論文等の記載に基づいて作りましたが、完全に正しいかどうかの保証はできません。  

※資料によって説明に食い違いのあるものは( )で併記しています。(同じクローンのはずなのですが...) 例えばKL1はある論文ではCk1/2/3/4/10/11とあったが、別のところでは55-57kDとあったというように不明確なものもあります。  また他社から供給された(所謂OEM)抗体に対して識別のためか、クローン名称に若干の「細工」がされているのではないかと思われるものもあります。  好ましいこととは思えないのですが、一般論としてクローン名称についても少しアバウトに扱われているような気がします。