株式会社 協同病理
中皮腫
最終更新日:2013.7.24

■ 中皮細胞 / 中皮腫 ■
検出用抗体群 (中皮腫で陽性のことが多いもの) ただし、100%確実ではありません
Human Calretinin Calret   Rabbit Poly P*
Human D2-40 (Podoplanin) D2-40 Lymphatic endothelail marker Mouse D2-40 P*
Human Glucose transporter 1 (GLUT-1) GLUT-1 solute carrier family 2, SLC2A1 Mouse SPM498 P*
Human HBME-1, Mesothelial cell HBME-1   Mouse HBME-1 P*
Human Mesothelin Meso   Mouse 5B2 P*
Human Thrombomodulin CD141 CD141 Mouse 1009 P*
Human Wilms' tumor gene product, WT-1 WT-1   Mouse WT49 P*
対照用抗体群 (中皮腫で陰性のことが多いもの) ただし、中皮細胞が染まるものもあります
Human Carcinoembryonic Antigen (CEA) CEA CD66e Rabbit Poly P
Human Cytokeratin (Ck20など) Cytokeratin の項参照 (ただし、Ck5,Ck7などは比較的中皮細胞でも染まり易い)
Human Desmin Des   Mouse D33 P
Human Epithelial Antigen, Ber-EP4 EA Ber-EP4 Mouse Ber-EP4 P
Human Epithelial Membrane Antigen EMA Episialin,PEM Mouse GP1.4 P
Human Epithelial Specific Antigen ESA   Mouse VU-1D9 P
Human MOC-31 MOC31 Lung antigen,
40kD membrane protein2
Mouse MOC-31 P*
Human Thyroid transcription factor-1(TTF-1) TTF-1 Thyroid nuclear factor 1,Homeobox protein Nkx-2.1 Mouse SPT24 P*
Human Vimentin Vim   Mouse V9 P
そ の 他
Hyaluronic acid binding protein HABP 厳密には免疫反応ではありません。
詳細はアルファベット索引を参照下さい。
Bovin   P*


中皮腫は上皮型では腺癌と、肉腫型ではその他の肉腫との鑑別が問題となるが、現在のところ完全に中皮腫だけに特異的な単一の「絶対的マーカー」というものはない。従って免疫組織化学的には複数の抗体や染色法(以下、太字で示したものは本リスト及び特染MENUに収載のもの)を併用して確率論的にアプローチする必要がある。

Calretininは中皮腫において陽性率が高く、かつ陽性細胞数も多いのに対して、腺癌では陽性例であってもごく一部の細胞が陽性になるだけと言われているほか、近時Glut-1やCD146なども高陽性率を示すものとして注目されている。 Mesothelin、Thrombomodulin(CD141)、HBME-1なども中皮腫での陽性率が高いが腺癌の一部が陽性となるので特異性が高いとは言い難い。しかも中皮腫であっても肉腫型では陰性のことがある。D2-40(Podoplanin)も陽性になるが、やはり腺癌、扁平上皮癌、精細胞性腫瘍などにも反応する。他にWT-1や、CD44のVariant、N-Cadhelinも中皮腫での陽性率が高いといわれる。(体腔液細胞診アトラス:亀井敏昭・海老原善郎,p184,篠原出版新社,2002) CA125はむしろ卵巣癌のマーカーとして知られているが中皮腫での陽性例もある。

Calretinin Mesothelin Thrombomodulin HBME-1
(胸膜生検:左よりCalretinin=核/細胞質、Mesothelin=細胞膜/細胞質、Thrombomodulin=細胞膜、HBME-1=細胞質)
Calretinin Mesothelin D2-40 CK5
(胸膜生検:左よりCalretinin=核/細胞質、Mesothelin=細胞膜/細胞質、D2-40=細胞膜、CK5=細胞質)

一方、CEAは通常は中皮腫で陰性、腺癌には陽性のものが多いので対照として上記の抗体と組み合わせて使用される。 MOC-31CD15CD15sSCLCも同様であり「陰性マーカー」としての意義がある。ただし、腺癌であってもこれらが陰性の場合もある点を留意しておく必要がある。他に原発性肺癌との鑑別ではTTF-1が役立つことがある。

Ber-EP4(EA)ESAも通常は上皮性腫瘍のマーカーとして使用されるもので、中皮腫では陰性のことが多いが、 EMAHMFGではしばしば陽性になることがある。(これらが認識する抗原は単一の分子ではない)ただし、腺癌などでは細胞質も含め陽性になることが多いのに対して上皮型中皮腫で陽性を示す場合には細胞膜に限局するとも言われる。また、これらやE-Cadhelinは非腫瘍性(反応性)の中皮細胞では陰性か、あってもきわめて弱い反応しか示さないので反応性中皮と中皮腫の鑑別に利用されることがある。

中皮細胞は中間径フィラメントではCytokeratinVimentinの両者を有する。特にCytokeratinは高分子量のものは陰性であるが比較的低分子量のもの(Ck5やCk7など) が陽性で、むしろ腺癌よりも強くびまん性に染まることがある一方で、Ck20などは陽性となることが少ない。また、肉腫型の中皮腫でもCytokeratinは陽性の場合があるので、Anti-chymotrypsinAnti-trypsin(組織球系)、S-100蛋白(脂肪、末梢神経系)、 Actin(筋系)などとの併用により他の間葉系腫瘍との鑑別に利用される。

免疫組織化学以外の特殊染色所見としては、PAS染色によりGlycogenが陽性、Diastase消化試験(D-PAS)で消化される。一方、上皮性粘液は証明できずMucicarmin染色は陰性。また、Alcian blue染色(ALB)やColloidal iron染色で細胞表面及び時に細胞質内に陽性となり、Hyaluronidase消化試験によってその染色性は減弱するがあまり明瞭とは言いがたい。組織切片上での Hyaluron酸それ自体の検出は難しいが、Hyalunonic acid binding protein(HABP)をプローブとして用いて酵素抗体法を応用することで比較的明瞭に証明できる。