分子標的治療関連抗原
最終更新日:2020.06.08
御注意下さい:これは貴方がご覧になっている時点での保有抗体を正確に示すリストではありません。
■ 分子標的治療薬(Molecular target therapy)関連抗原 ■ | ||||||
薬剤名(一般名) | 標的分子/関連抗原 | 関連抗体 | HOST | CLONE | 適用 | |
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bapineuzumab バピネウズマブ solaneuzumab ソラネウズマブ |
削除しました | |||||
gefitinib ゲフィチニブ erlotinib エルロチニブ afatinib アファチニブ cetuximab セツキシマブ panitumumab バニツムマブ |
c-erb B-1, EGFR, HER1 | EGFR | Rabbit | SP84 | P* | |
Osimeritinib オシメルチニブ | c-erb EGFR T790M | EGFR T790M | ナシ | |||
trastuzumab トラスツズマブ pertuzumab パーツズマブ lapatinib ラパチニブ |
c-erb B-2, neu, HER-2 | HER-2 | Rabbit | Poly | P* | |
imatinib イマチニブ | c-kit CD117,SCF Ligand | cKit | Rabbit | Poly | P | |
rituximab レツキシマブ ibritumomab イブリツモマブ |
CD20 | CD20 | Mouse | L26 | P | |
gemutuzumab ゲムツズマブ | ナシ | |||||
alemtuzumab アレムツズマブ | ナシ | |||||
omalizumab オマリズマブ | IgE | IgE | Rabbit | poly | P | |
mepolizumab メポリズマブ | ナシ | |||||
tocilizumab トシリズマブ | IL-6R | IL-6 | Rabbit | poly | P | |
denosumab デノスマブ | RANKL | RANKL | Rabbit | poly | F | |
adalimumab アダリムマブ golimumab ゴリムマブ infliximab インフリキシマブ |
TNF-α | TNFα | Mouse | 2C8 | P* | |
bevacizumab ベパシズマブ ranibizumab ラニビズマブ |
VEGF | VEGF | Mouse | JH121 | P | |
sorafenib ソラフェニブ sunitinib スニチニブ axitinib アキシチニブ pasopanib パゾパニブ nintedanib ニンテダニブ |
VEGFR PDGFR | PDGFR | Rabbit | Poly | P | |
vandetanib バンデタニブ | VEGFR EGFR | EGFR | ナシ | |||
vemurafenib ベムラフェニブ dabrafenib ダブラフェニブ |
BRAF V600E | BRAF V600E | Rabbit | RM8 | P* | |
trametinib トラメチニブ selumetinib セルメチニブ |
MEK | MEK | ナシ | |||
crizotinib クリゾチニブ alectinib アレクチニブ ceritinib セリチニブ lorlatinib ロルラチニブ |
Anaplastic Lymphoma kinase | ALK | Mouse | 5A4 | P* | |
Survivin | SVV | Rabbit | Poly | P* | ||
Melanoma関連分子(腫瘍拒絶抗原) | ||||||
MAGE-1 | MAGE1 | Mouse | 6C1 | P* | ||
Melan A | MART1 | Mouse | A103 | P* |
分子標的治療(Molecular target therapy)
従来の化学療法とは違い、腫瘍細胞などに特異的あるいは過剰発現する特定の分子(抗原)やそのシグナル伝達経路を選択的に標的とする治療法(薬)のことで、その分子を選択的に障害・中和したり、その分子の生理的機能を阻害することによって増殖抑制作用などを起こすもの。従って、治療の対象となる腫瘍細胞が標的となる分子を発現していることを免疫組織化学染色などで確認することが重要となる。治療薬には舌を噛みそうな名称のものもあるが、概ね以下のように理解すると良い。 【抗体薬】モノクローナル抗体(MAb)を治療薬として使うもの 語尾が〜mab 「〜マブ」で示されるもの 〜momab 「〜モマブ」/〜omab:マウス(m)などヒト以外の生物由来のモノクローナル抗体 〜ximab 「〜シマブ」:キメラ抗体(可変領域[v]はマウスなど、定常領域[c]はヒト抗体) 〜zumab 「〜ズマブ」:ヒト化抗体(相補性決定領域以外のフレームワーク領域がヒト抗体) 〜mumab 「〜ムマブ」/〜umab:遺伝子組換えによりマウス(m)などヒト以外の細胞で作ったヒト型抗体 【阻害薬】酵素活性阻害(inhibitor)作用を示す低分子化合物を使うもの(非抗体薬) 語尾が〜nib 「〜ニブ」で示されるもの 〜tinib 「〜チニブ」:tyrosine kinase inhibitorの作用を示すもの 〜fenib 「〜フェニブ」:raf kinase inhibitorの作用を示すものなど 【イレッサ】Iressa(R)(一般名:ゲフィチニブ gefitinib)は手術不能又は再発非小細胞性肺癌を対象として2002年7月に承認された経口投与型の分子標的抗癌剤。 EGFRのチロシンキナーゼ活性を阻害し腫瘍細胞の増殖シグナル伝達を抑制し、腫瘍縮小効果を示すと考えられる。ただし、間質性肺炎の副作用が報告されている。 【ハーセプチン】Herceptin(R)(一般名:トラスツズマブ trastuzumab)はヒト化抗p185HER2モノクローナル抗体による静脈注射用抗癌剤で、乳癌を進行させる腫瘍細胞増殖因子受容体であるHER2(c-erb B2)をターゲットとし、それを阻害することによって腫瘍細胞増殖を抑制する分子標的治療薬。本邦では2001年5月に薬価収載された。免疫組織染色またはFISH法でHER2過剰発現が確認された浸潤性乳癌症例だけが対象となる。 【グリーベック】Gleevec(R)(一般名:メシル酸イマチニブ imatinib mesylate)はフィラデルフィア染色体(Ph1)陽性の慢性骨髄性白血病に対する経口治療薬として 2000年11月15日に希少疾病用医薬品に指定されたもので、 9番染色体上のABL遺伝子と22番染色体のbreakpoint cluster region(BCR)の転座により形成されるbcr/ablキメラ蛋白のチロシンキナーゼ活性を競合阻害する「シグナル形質導入阻害薬」である。その後、チロシンキナーゼ型受容体であるc-kitを発現している消化管間質腫瘍(Gastro-intestinal stromal tumor:GIST)でも高い効果があることがわかり、2003年7月17日に c-kit陽性GISTに対する治療薬として追加適応承認された。 c-kit陽性GISTは従来型の化学療法や放射線療法に対して耐性が強く、増殖力が強いことが知られているが、Gleevecは受容体からErkを介したシグナル伝達系を阻害し腫瘍の縮小効果を示すものと考えられている。 【リツキサン】Rituxan(R)(一般名:リツキシマブ rituximab)はCD20モノクローナル抗体による静脈注射用抗癌剤として2001年6月20日承認された分子標的治療薬で、 CD20抗原を有する細胞に対し補体依存性及び抗体依存性細胞介在性に細胞傷害作用を示す。免疫組織染色法又はFCM法等によるCD20陽性の低悪性度非ホジキンリンパ腫(B細胞型悪性リンパ腫)症例のみが対象となる。 (Iressa(R)はアストラゼネカ社より、Gleevec(R)はノバルティスファーマ社より、Herceptin(R)、Rituxan(R)は中外製薬より販売されている商品名です。) 他にも、消化管carcinoidや結直腸癌で有望とされる抗VEGF抗体のbevacizumab ベバシズマブ(商品名:Avastin)や眼科領域で注目されている抗VEGF-A抗体のranibizumab ラニビズマブ(商品名:Lucentis)、HER2と他のHERファミリーとの結合を阻害するpertuzumab ペルツズマブ(商品名:Omnitarg)など次々と開発されている。 |